お米

ココトモファーム 代表

齋藤 秀一さん

愛知県犬山市

農業の6次産業化により「農商工福」を連携させ、地域の雇用を創出する。

きっかけ

障がいのある方の就労のために

約20年前にIT企業を創業し、次に障がい福祉施設の運営をしてきた齋藤秀一社長。
その後、2019年に農業法人である「ココトモファーム」を設立。そのきっかけは何だったのでしょうか?

「障がい福祉施設や放課後等デイサービスを運営しながら、そこを巣立つ障がい者の受け入れ先が少ないことや、本人と受入先との仕事のマッチングが上手くいかない現状に問題意識を抱いていました。この子たちの働き先を作っていかなければならないと考えていたところ、農家の高齢化や担い手不足、機械設備の老朽化、耕作放棄地の増加など、農業の課題を知りました。また、国の方でも数年前から ”農福連携” を掲げて推進しているものの、現実は高いハードルがあるようでした。」

「そこで私が考えたことは、農業と福祉の間に ”商業” を入れること。さらに自社で商品を作ることにより ”製造” も入ることになります。つまり、”農商工福連携” を実現させることで、障がいのある方の特性に合わせた仕事や雇用を創出することが可能となります。」

- 障がいのある方の就労がきっかけだったのですね。当初は何を販売する予定だったのですか?

「野菜のビュッフェや "ヤギ" の見えるカフェ、焼きおにぎりなどを検討しました。そんな中、偶然にも6次産業化の展示会で ”米粉からつくったバウムクーヘン” と出会い、インスピレーションを得ました。私たちは米農家ですので原料の米は十分にありますし、卵や玄米なども使うため栄養価も高い。お年寄りの方の栄養補給にもなります。また、小麦粉を使わないグルテンフリーのため、アレルギーが心配な人も食べられる。何より皆が好きな食べ物で美味しいですよね。」

転機

運命のご縁に感謝して、
新たなご縁をつなぐ

- バウムクーヘンの原料であるお米については、栽培することが決まっていたのでしょうか?

「今井地区で農業をやることは当時決まっていたのですが、急にその地域の大規模な稲作農家さんが廃業することになりまして…。犬山市役所さんからも協力をいただき、その大部分を私たちがお借りできることになりました。すでに所有していた橋爪地区と合わせると東京ドーム1.8個分にもなります。本当に大変なご縁をいただいたと感じました。」

- まさに運命ですね!

「その地で農業だけでなく、農業体験や観光も意識しています。GPSがついた田植え機は田んぼの中を自動運転で移動しますので、子供たちはディズニーのアトラクションみたいだと大喜びでしたよ。」

「先日は、食用桜を植えるイベントも開催しましたが100名位応募がありました。私は経営者ですので、様々なジャンルの掛け合わせをしながらアイデアを出し、経営を成り立たせていこうと考えています。」

こだわり

伝統と革新をブレンドさせた
絶品生米粉

- 農業やお米のこだわりも教えてください。

「強みはスマート農業を中心とした品質管理です。ドローンの農薬散布は、空から均等にかつ少ない量で散布することができ、農薬検出レベルも0に近くなります。しかもこの農薬の少なさは ”味” に違いがでてきます。今井地区のお米は、もともと犬山城主の献上米をつくっていたほど美味しいのですが、そこにスマート農業が加わり、さらに美味しくなっていると感じます。」

「収穫した後は、籾(もみ)や玄米のまま冷温貯蔵庫で保管して、必要な量を米粉にしています。このあたりの品質管理もこだわっています。バウムクーヘンに水分を含んだ新鮮な ”生米粉” が使用できるのも、この品質管理の仕組みがあるからです。米農家に限れば、生米粉を使用してスイーツを作っているのは全国で私たちだけだと思いますよ。」

想い

みんなのプラットホーム、
みんなのココトモファームへ

- 著書では、「プラットホームとしてのココトモファーム」というフレーズが印象的でした。

「普段から ”つながり” を大切にしたいと思っています。これまでも、行政やシルバーセンター、企業、農家の皆様と多くのつながりを経験してきました。」

- なんだか、齋藤様が社長の会社ですが、みんなのプラットホームになっている感じがしますね。

「本当にその通りです。さらには多様性を意識して、健常者と障がいのある方の垣根をなくしていきたいと考えています。」

- IT企業を経営する中で感じた課題もあるとお聞きしました。

「以前からIT企業の社員が高齢化した時の受け皿を作りたいと考えていました。IT業界では若い人のほうが価値が高く、高齢化した社員をあえて辞めさせる会社もあるくらいです。私はスマート農業を一つの受け皿と考えていて、ITスキルを活かしながら農業をすることで、健康的に長く働くことができます。」

- 素晴らしいアイデアですね。これもプラットフォームとしての役割の一つになりますね。

ビジョン

「農商工福連携」で持続可能な社会を実現する

- 今後のビジョンをお聞かせください。

「まずは犬山の地で、”農商工福連携” を実現させることです。成功事例を作り、全国に普及できたらと考えています。地方創生に向けた第一歩であり、必ず成功させたいと思います。」

「もう一つは、犬山に就労支援施設をつくる計画があります。ココトモファームは ”雇用をつくる” ために作った会社ですので、障がいのある方がそこで訓練をして、安心して社会で働けるようにしていきたいです。」

- まさに日本の地方創生と持続可能な社会を創るお仕事をお聞きでき、感動しました。齋藤社長の夢の続きを楽しみにしています。


人生の前半に多くの苦労をされたという齋藤社長。人のため、社会のためにビジネスを進める中で、沢山のご縁や奇跡が起こっています。そして、それを運んできているのは、まさに齋藤社長の情熱と善き想い。
まずは、新鮮な生米粉と無限大の夢が詰まったバウムクーヘンをご堪能ください!

齋藤秀一社長(左)と妻のゆみさん(右)

ココトモファーム 公式サイトはこちら

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