果物

永井ぶどう園 代表

永井 泰博 さん

愛知県小牧市

受け継いだ直売所で、真心込めたタネありぶどうをお渡しする。

就農のきっかけ

元銀行員の決断

愛知県小牧市でぶどう園を営んでいる永井さん。
先代の土地を受け継ぎ、お客様への直接販売を貫くその想いをお聞きしました。

- ぶどう栽培はいつ頃から始められたのでしょうか?

「農地は江戸時代の頃からあったみたいですが、果樹栽培を始めたのは祖父の代からです。桃やりんごも栽培したみたいですが、50年ほど前からぶどう栽培に切り替えました。そこを父が継いで、収穫量を増やしていったのです。まさに、祖父がタネを撒き、父が大きく育て、三代目の私がようやく花を咲かせられる段階にきています。」

- 幼い頃からぶどう栽培を身近に感じていたのですか?

「繁忙期や直売所での手伝いはしていたのですが、当時はそこまで家業に興味を抱いていませんでした。東京の大学に進学して、卒業後は銀行員として働いていました。」

- 銀行員だったのですね! そこから就農のきっかけは何だったのでしょうか?

「ちょうど30歳頃の時、父親がぶどう園の規模を縮小し始めまして…。私も結婚して銀行員の道を歩んでいたため、農園を継がないだろうとも思っていたみたいです。樹が切られ、棚がなくなっていく現実を見た時に、ふと寂しさが込み上げてきました。常連のお客様の顔も思い浮かぶようになり、跡を継ぐ決心をしました。」

- ぶどう栽培は、お父様から学ばれたのですか?

「いえ、父は手とり足とり指導するというよりも、技術は盗み取れというスタンスで就農当時は参りました。試行錯誤しながら腕をみがいています。
野菜はタネを撒き収穫したらリセットされますが、果樹は収穫後も剪定ひとつで将来の収穫量や品質が変わってしまいます。1年目の失敗の影響が翌年以降に続いた箇所もありましたよ。」

こだわり

豊潤のタネあかし

- ぶどう栽培のこだわりを教えてください。

「先代から受け継いだ "タネありのぶどう" にこだわっています。タネなしぶどうでも、元々はタネがあるんですよ。それを栽培の途中でホルモン剤を使用して無くすのですが、同時に味の深みも失われてしまいます。私たちは、人が余計な手を加えず、"ぶどう本来の自然の味”をお客様にご提供したいと考えています。」

- 人が余計な手を加えないということは、それだけ栽培が難しい気がします… 。

「種ありぶどうを栽培するにあたって、ポイントの一つは実に種を入れることです。当たり前に聞こえるかもしれませんが、人(栽培技術)、と自然(天候)の条件が整ってようやく種が入ります。毎年課題が見つかり、奥の深さを感じていますね。」

- ぶどうは農産物の中でも最も品種が多いとお聞きしました。

「はい、世界中で1万種類以上あると言われています。また、味や形、色、香りなど品種間の差がすごく大きいのです。その中で ”畑の土” に合った品種を探して栽培しています。現在、約30種類の品種を栽培していますが、今後はお客様の反応や当園の土に合うか等を見極め、だんだん集約していきたいと考えています。」

- 土と品種の相性も大切なのですね。

「畑に植えてから実がなり、収穫し、さらにその品種が持っている特性を理解するのに5年ほどかかります。その時になって初めて良い品種かどうかわかるんですよね。」

- ぶどう栽培は本当に深くて広いですね!

現在の取り組み

地元に広げる、
ぶどうの芳り

- 現在の取り組みを教えてください。

「私たちは、地元のお客様に50年支えられてやってきました。でもまだ小牧、春日井、犬山などの近郊でも永井ぶどう園のことを知らない人が多いと思います。そのために、ロゴやホームページなどを新たに制作しました。まずは、地元の方に美味しいと思っていただけるぶどうを作りたいですし、そのような取り組みがSNSなどを通して広がっていけば嬉しいです。」

「お客様の購入の目的も意識しています。贈答品など、その目的に応じたパッケージなども考えていますよ。」

- ジャムやジェラートも美味しそうですね!

「はい、ぶどうのジャムや、ジュース、ジェラートなどの加工品も企画販売しています。添加物不使用の安心安全で美味しい商品を開発しています!」

想い

関わる全ての人が幸せになるように

- 最後に皆さまへのメッセージをお聞かせください。

「 ”私たちに関わる全ての人が幸せになるように” をモットーに、ぶどう栽培をしています。買ってくれる人、食べてくれる人、働いてくれる人、そしてその家族が幸せに暮らせるようになればいいなと願っています。」

「昔から直売所での販売一本で、卸販売はやっていません。私たちは毎年直売所に立ち、常連のお客様とお会いする時間を大切にしていますし、ぶどうと共に自分たちを買っていただいていると思っています。これからも、ぶどうを通して皆さまが幸せになってもらえるよう頑張ります!」


インタビューは新緑のぶどう園の中で行われました。
丘を吹き抜ける風の中、タネありぶどうの美味しさを語る永井さん。その願いは風に乗り、5年先の未来へと続いていきます。

夏の収穫時期は、永井ぶどう園の直売所へお出かけしてみてはいかがでしょうか!

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